グリップ② 小指側を意識してみる

前回、グリップに関して、
・手先の脱力
・親指と人差し指による支点を作らない
・指先だけではなく手のひら全体も使う
などの話を書きました。

この辺りについてもう少し深く見ていこうと思います。

 

人体力学の観点で腕の構造や動きを見て行った場合、
「小指側」というのが一つのキーワードになります。

モノを持つ・つかむという動作をする場合、
リラックスして行なうためには
基本的には小指側で行なう、
もしくは小指側を支えにして行なう、
という事になります。

いやいや、
コーヒーカップやビールグラスは親指と人差し指・中指で持つぞ、
と思われたりするかもしれませんが、
その時に薬指・小指は丸めていると思います。

もしくは薬指・小指を丸めている方がラクに持てると思います。

これは小指側が支えになっているという事です。

 

良ければ試しに、
親指・人差し指・中指でコーヒーカップを持った状態で
小指側(この場合は薬指と小指)を
伸ばした状態と丸めた状態での違いを観察してみてください。

おそらく小指側を丸めている状態の方が力みが無く、
カップを持つ事も、腕を使ってそれを移動させる事も
ラクにできると思います。

 

ちなみに古武術の世界では
剣を持つ場合、中指を含めた小指側で握り
親指・人差し指は開き気味になっている
というのが基本のようです。

なお、力を込めて握りしめるのではなく、
あくまで脱力した状態で支えるという感覚のようです。

 

色々と例をあげましたが、
ドラムスティックを持つ際に
親指と人差し指ではなく「小指側」を意識してみることで
今までよりもラクな動作やリラックス状態を
見つけることができるかもしれません。

で、繰り返しになりますが、
決して小指側に力を入れて握りしめるのではなく、
小指側を丸めて支えるという感覚です。

また、実際にはグリップは一つの形で固定されるわけではなく、
身体の動きなどに応じて常に変化していきます。

これがモーラー奏法におけるフリーグリップに繋がるのですが、
その辺りはまた次回に。